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Diary 富士登山競走2008参戦記 その1

【プロローグ】
 私が富士登山競走なるものを知ったのは10年以上も前、まだマラソンに真剣に取り組んでいた頃だった。
 そのころは10キロやハーフなどのスピード重視のレースへの参加が主だったのですぐには参加するつもりはなかったが、いつかは参加してみたいとは思っていた。
 そしていつしかマラソン大会への参加も遠のき、富士登山競走のことも忘れ去っていた。
 そんな中、たまたま同じ職場のジョギング仲間U氏がなんと過去2回もの完走経験があることを知り、いろいろと話を聞いているうちにだんだんと興味がわいてきて、U氏の「来年参加してみる?」の一言にすっかりその気になってしまったのだった。

 
【富士登山競走とは】
 富士登山競走は、山梨県富士吉田市役所(標高770m)から吉田口登山道を経由して富士山頂(ゴールの標高は3730m)までの延長21kmを一気に駆け登るレースで、なんと標高差は約3000mもある。
 制限時間は4時間30分で、時間内の完走率は50%を切る厳しさ。
 砂礫の坂道を転げ落ちるように走り降りてきてタスキをつなぐシーンが時々テレビで放送されるが、これは富士登山駅伝といって山頂まで往復する駅伝大会であり、これと勘違いする人が時々いる。

 山頂のゴールに辿り着いても、その後、麓まで誰かが送り届けてくれることなど当然なく、自力で5合目まで下山しなければならないというのもこのレースならではの過酷さである。
 開催は毎年7月の第4金曜日である。

 
【エントリー】
 同じくU氏にそそのかされてその気になった同僚の宮ちゃんとともに、5月初めに申し込む。
 言い出しっぺのU氏は娘さんの結婚式やらなにやらで忙しいので無理とのことでパス。
 さてはビビッたな・・・
 このレースは年々人気が高まっているようで、早々に定員に達してしまったようだ。
 
【レースの実態を知る・・・】
 はっきり言って油断していた。
 最近はアイドルやタレントなどスポーツとは無縁な人たちがフルマラソンをヘロヘロになりながらもなんとか走りきってしまい、果ては100キロといった超長距離走でさえもなんとかなりそうといった感すらあり、このレースも「がんばればなんとかなる」と自分で勝手に決めつけ、特に何のトレーニングもしてこなかった。
 しかも、U氏には申し訳ないが、それほど凄いランナーには見えなかったことも油断した一因である。
 ところが、レース1ヶ月ほど前の6月下旬、ネットで詳細を調べてみたことで状況は一変した。
 どのサイトやブログを見ても、とにかく過酷なレースで、生半可な気持ちではとても完走できないと書かれているではないか。
 現地での試走や坂道を走る練習、体力トレーニングといったことを皆がんばっているようだ。
 私はと言えば、昼休みランニング7.5キロを毎日続けているだけで、土日は時々エアロバイクを1時間ほどやるだけである。
 さ〜てどうしよう・・・と言っているうちに7月になってしまった。
 今からでは現地に試走に行くのも無理だし、レース3週間前では故障が恐いので走り込みなんかとてもできない。
 やばい・・・このままでは完走すら危ういではないか。
 
【トレーニング】
 レースまで3週間ちょっとしかないので、今からできることを考えてみた。
 山登りの経験もなく(どちらかと言えば嫌いな方)、平地しか走ってないので、自分の体を上に押し上げる筋力が不足してるのは明らかである。
 そこで有効なのが階段のかけ上がりだが、身近に練習できるような適当な階段がないので、子供の頃スポーツテストでやった踏み台昇降をやることにした。
 私がやったのは強度を高めて踏み台の高さを机くらい(約70センチ)にして、15分間続けるというもの。
 これが有効かどうかは疑問だが、坂道を登るのに必要なおしりの筋肉が筋肉痛になったので効くかもと納得して10日間ほど続けた。
 ただし、そろそろ体の疲れをとる時期でもあるので、ハードなトレーニングは禁物であるが、そんなことも言ってられないのも確かである。 
【足の痛み】
 7月に入って、以前走りすぎで痛めた左足の甲に痛みが出てきてしまった。
 練習不足への焦りからか、無理しすぎたようである。
 長時間、体を動かし続けるのにも慣れておかないといけないので3時間走とかもやっておきたかったが、悪化するのは目に見えているので中止。
 このケガは、ハーフマラソンの自己ベストを更新すべく必死で走り込んだ時のもので、無念にもレースは断念することになり、それ以来マラソンへの情熱が冷めてしまった原因である。
 今回も同じかとかなり落ち込んだが、幸いにも3日間走るのを止めたら痛みは引いた。
 しかし、再度走ると違和感を感じるので、走る距離は少なめスピードは控えめにして、心肺機能のトレーニングは自転車に切り替えることにする。
 そうこうしているうちにもう1週間前である。
 そこで、3時間走るのではなく歩くことにしたが、決めたその日はなんと雨。
 雨の中歩くのも惨めなので、市のスポーツセンター体育館の2階にあるジョギングコースを歩くことにする。
 ジョギングコースといっても1辺が40mほどの体育館の中なので、ここで3時間も歩き続けるのは体力的というより精神的につらいものがあったが、足の痛みもなく疲れもほとんど残らなかったのでなんとかいけるかもとほんの少しだが自信がわいてきた。
 ところがその後、左足の股関節にも軽い痛み、しかもレース前日には左足裏の足底筋が痛むなど左足に不安を抱えたまま当日を迎えてしまった。
 我が家には「危険なことをしてはいけない」という家訓?があり、このレースはこれに抵触する行為であるので妻も娘も心配しているので足が痛むことは当然内緒であるが、湿布などの治療行為ができないことがつらいところであった。
 
【軽量化】
 車もそうであるが、エンジンチューンとともに有効なのが軽量化である。
 しかも当日は水や補給食といった余計な荷物を携帯して走るので、足への負担を考えると肉体の軽量化は必須となる。
 練習量が減っているので大幅な軽量化は望めないが、甘いものなどの間食とビールを絶ち、食べる量を減らすことで体重は57キロ台をキープ、レース前日の体脂肪率は11%と、軽量化作戦は成功したようだ。
【装備】
 普通のマラソンとは異なり、色々と荷物を持って走らなければならないのもこのレースの特徴である。
 ネットのサイトやブログを参考に次のとおりとした。
 
 上から半時計回りに、
 ウェストポーチ(これだけでは収納が足りないので百均で買った小型ポーチを追加)
 水筒(350cc)
 軍手(岩場を登るとき手を保護する)
 補給食2個(これひとつでおにぎり1個分のエネルギーが補給できる。ただしとてつもなくマズイ!)
 現金3,000円(何かあったとき必要なものを山小屋で買う)
 ゴミ袋で作った簡易ポンチョ(山頂での防寒用)
 ティッシュ(使うかどうかわからないが無いと不安)
 塩(塩分補給用、ラムネ菓子の入れ物を利用)
 そして、デジカメである。
 デジカメは単三電池2本仕様の重いタイプなので持っていこうか迷ったが、レース中の模様や富士山頂からの風景を撮りたかったので持っていくことにする。
 旅慣れしている人ほど荷物が少ないと言うが、確かにレース当日見かけた常連ランナーと思われる(ゼッケン番号が若い)人の中にはまったくの手ぶらという人もいて、いったいどうするんだろうと見ているこちらが心配になってしまった。
【いよいよ出発】
 レースのスタートは午前7時なので遅くとも5時には現地に着いていなければならない。
 当日発つこととすると3時過ぎには出発しなければならず、多分寝付けないだろうと思い、前日現地入りして車で寝ることにする。
 車内では熟睡できないのではという人がいるが、私の場合は釣りで慣れているし、リアシートを倒せばフラットになるので案外良く眠れる。
 心配なのは暑さで、狭い車内でのエアコンかけっぱなしは喉を痛めるし、なによりガソリンがもったいない。
 24日の午後8時前に心配顔の妻と娘に見送られ出発。
 がんばって完走するからね!
 首都高速、中央高速と順調に進み、9時半過ぎにはスタート地点の富士吉田市役所に到着し、臨時駐車場の場所も確認して、市役所から5キロほど離れた道の駅「富士吉田」へ向かう。
 
 心配していた暑さもなく、10時過ぎには床につくことができた。 
【スタートまで】
 朝は4時に起床、朝食はおにぎり1個、バナナ1本、ウイダーinゼリー(エネルギーイン)1本とした。
 心配していた左足の痛みはうそのように無くなっている。
 やった、これならいけそうだ!
 そしてトイレ(大)を済ませて身軽になってから臨時駐車場となっている下吉田第二小学校に移動する。

 
 ぞくぞくと集まってくる選手たち。
 仮設トイレは早くも長蛇の列だが、私は済ませてきたので一安心。
 レース会場で(大)をするのは結構難しいのである。
 着替えと荷物の確認をしていると私の車を見つけた宮ちゃんが近づいてきたので近況報告をしあい、レース会場に向かう。
 彼も私同様今年の4月に転勤になったが、彼の職場は超忙しいようで毎月の残業時間が60〜70時間!とのことで練習もままならなかったようである。
 大丈夫か?宮ちゃん・・・

 
 レース会場までは1.5キロほど離れているのでシャトルバスが運行している。
 この時点でまだ5時を少し過ぎたところ。
 皆早いなー。

 
 スタート地点の富士吉田市役所。
 もう既にランナーたちで一杯。
 いよいよ緊張してきたぞー!

 
 選手受付所でゼッケンその他を受け取る。
 ゼッケンは腹側だけでなく、背中にも付ける本格的なもの。

 
 レース前の補給ゼリーを飲む宮ちゃん。
 私もウイダーinゼリーを1本飲んでおく。

 
 スタート地点。
 ここから長い旅が始まる。

 
 天気は快晴!、 富士山頂が見える。
 あそこまで本当に行けるのかと思うと気が遠くなる。
 上の写真のスタート地点は、この写真左側にあり、右方向に向かって500mほど行ってから左折して富士山に向かうことになる。
 平坦な部分はこの500mほどだけで、後は全て上り坂である。
 「目指せ!!完走」の幟が会場周辺のあちこちにあり、このレースの完走の難しさを物語っているようだ。 

 
 スタート30分前。
 もうスタート時の整列場所を確保しようとランナーが集まってきている。
 さあ、いよいよスタートだ!
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